都立入試用語集 

高校の種類に関する用語

専門学科
  • 特定の専門学科に関する科目を勉強する高校。普通科と異なり、カリキュラムの一部分が専門科目に置き換わる。都立高校の中では「工科(工業)」「ビジネス・商業」「農業」「家庭科」「福祉科」などがある。卒業後進路は普通科と比較すると就職の割合が高い高校が多いが、大学進学率が卒業生の半数近くある高校もあり、一概に「専門学科=卒業後は就職」とは言えなくなっている。
総合学科
  • 多様な科目を開設して、普通教育と専門教育を総合的に行う学校。多くの高校では1年次に「産業社会と人間」の授業や進路ガイダンスの中で自分の進路や興味・関心を見定め、2年時以降で高校ごと用意されている選択科目系列をふまえ、自分の時間割を作成していく。
コース制
  • 括りとしては普通科になるが、特定分野の科目の単位数が普通科よりも多くなる。募集枠が通常のコースと区別される。
  • 都立高校では深川(外国語コース)、片倉(造形美術コース)、松が谷(外国語コース)、小平(外国語コース)の4校がコース制を設置している。
単位制高校
  • 卒業のための単位修得の流れが通常(学年制)と異なる。
  • 学年制(通常の場合)では学年ごとに修得する単位数が定めらており、それを下回った場合は留年となるが、単位制の場合は、卒業に必要な科目の単位を3年間(または4年間)で修得すれば卒業ができる。
  • 都立高校の場合、普通科単位制高校でも高校ごとに趣旨が異なる。
    ・「個性や特性、進路希望に対応した特色型」
    ・「進学重視型」
    ・「専門高校型」
    の3つに分類され、特に進学重視型(新宿・国分寺・墨田川)の場合は、カリキュラム上は、ほぼ全日制と変わらない。
チャレンジスクール
  • 不登校経験を持つ生徒や長期欠席等が原因で高校を中途退学した者等を主に受け入れる総合学科。午前・午後・夜間の三部制で昼夜間定時制に区分される。入試は作文・面接・志願申告書で合否が決まるため、学力試験や調査書の提出はない。
エンカレッジスクール
  • 勉強が苦手な生徒のやる気を育て、頑張りを励まし、応援し、基本的学力を身につけることを目標にしている高校。入試は作文・面接・志願申告書で合否が決まるため、学力試験や調査書の提出はない。
定時制高校
  • もともとは夜間に授業を行う夜間定時制が主であったが近年では昼間に学べる定時制高校(昼間定時制や昼夜間定時制)もある。修業年限は4年とする学校が多いが、高校が定める条件を満たすことで3年間での卒業が可能な高校もある。
通信制高校
  • 添削指導、面接指導等によって教育を行う課程のこと。都立高校では一橋高校、新宿山吹高校および砂川高校の通信制課程で募集が行われている。
都立中高一貫教育校
  • 6年間の一貫教育を行う高校
  • 中等教育学校と併設型(都立中学+都立高校)に区分され、かつては併設型中高一貫教育校で高校段階での募集が行われていたが、現在ではいずれの高校でも高校段階での募集は行われていない。
高専(高等専門学校)
  • 技術者の育成を目指す5年制(専攻科進学の場合は7年間)の学校
  • 東京では公立高専として東京都工業高専と東京都立航空工業高専の2高専が設立されたが、現在は統合されて東京都立産業技術高専となっている。
  • 入試日程・合格発表日が都立高等学校と別日程になるため注意が必要。

高校の指定に関する用語

進学指導重点校
  • 東京都教育委員会によって指定される。進学対策に組織的・計画的に取り組む学校。
  • 2024年時点では日比谷・西・国立・戸山・青山・立川・八王子東の7校(トップ7とも呼ばれる)が指定されている。
  • 共通テスト結果や難関国立大学の合格者数などの基準と照らし合わせ、基準を下回り続けると指定剥奪の可能性があがる(ただし今までに指定剥奪された高校はない)
進学指導特別推進校
  • 進学指導重点校に次ぐ大学合格実績をあげる高校として、東京都教育委員会から指定される。
  • 2024年時点では小山台・駒場・新宿・町田・国分寺・国際・小松川が指定されている。
進学指導推進校
  • 進学指導特別推進校に次ぐ大学合格実績をあげる学校の中から地域状況などを勘案した上で東京都教育委員会から指定される。
  • 2024年時点では15校が指定されている。
  • 三田・豊多摩・竹早・北園・墨田川・城東・武蔵野北・小金井北・江北・江戸川・日野台・調布北・多摩科学技術・上野・昭和
SSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)
  • 文部科学省による指定。指定を受けた高校は、先進的な理数教育の実施などに対する国家予算が割り当てられる。その代わり、年度ごと取り組みによる成果報告が求められる。全国で200校以上の指定がされており(2024年時点)各校の具体的な実施報告書は科学技術振興機構のHPから確認できる。
GENET-20
  • 東京都教育委員会による指定。以前は「グローバル10」という名称だったが、いつの間にか倍の数に増殖した。グローバル人材育成に関わる取組みを推進する学校20校が指定される。【学問・探求グループ】10校【対話・理解グループ】7校【実地・協働グループ】3校に分かれ、具体的な取組み等は各校異なる。
Sports-Science-Promotion-Club
  • 東京都教育委員会による指定。高校単位ではなく部活動単位で指定される。令和3年度まで「スポーツ特別教科校」という指定が存在したが、その後継事業に位置付けられる。「科学的トレーニングの積極的な導入」が挙げられている。2024年では56の部活動が指定されている。ひとまず指定を受けていたら「高校が力を入れている部活動」と見ておけば間違いはないだろ
その他の指定
  • 上記以外にも東京都教育委員会による指定は様々あり、それぞれ指定期間を定めて取組みへの支援が行われる。
  • 各校の打ち出したい特色が見えるので、学校説明会などで具体的な取組みについて把握するとよいだろう。
  • 上記で取り上げていない指定では以下のものがある(一例)
    ・理数教育重点校
    ・理数研究校
    ・SIP(Science Inquiry Program)
    ・英語教育研究推進校
    ・国際交流リーディング校
    ・海外学校間交流推進校

入試に関する用語

入試得点(一般選抜)
  • 多くの都立高校の場合は下記の計算に基づき総合得点が算出される
    ・学力検査(5教科)の得点500点満点を700点満点に換算…①
    ・調査書点65点満点を300点満点に換算…②
    ・スピーキングテスト得点(A~Fまでの6段階評価)をランクごと20点満点に換算…③
    ・①~③までの合計が総合得点となる(1020点満点)
  • ※一部、特定教科に傾斜配点をかける高校、科目を3科目で行う高校、面接・作文を実施する高校がある。
評定
  • 通知表の成績(5段階評価)のこと、都立高校の場合、選抜において調査書点として得点化され、合計点に加えられる。
換算内申点
  • 都立入試の一般選抜においては、学力検査のない科目(学力検査が5科目の場合は技能系4教科)の内申点が2倍にされる。計算方法は下記の通り
  • 学力検査が5科目の場合(ほとんどの高校)
    ・(国・数・英・理・社)の内申点合計+(保体・技家・音・美)の内申点合計×2【65点満点】
  • 学力検査が3科目(国数英)の場合
    ・(国・数・英)の内申点合計+(理・社・保体・技家・音・美)の内申点合計×2【75点満点】
自校作成校(独自作成校)
  • 一般選抜の3科目(国数英)において、共通問題とは異なる学校作成の問題を出題する高校。大まかな形式は共通問題と同じであるが、難易度が高く平均点は共通問題を課す場合と比べて下がる場合が多い。
  • 進学指導重点校7校(日比谷・西・国立・戸山・青山・立川・八王子東)に加えて進学重視型単位制3校(新宿・国分寺・墨田川)、および国際高校(英語のみ)が自校作成校である。
スピーキングテスト(ESAT-J)
  • 2023年の都立高校入試から導入されることが決定された。11月に実施され、そこでの成績が一般選抜に利用される。
  • 成績ごとにA~Fに区分され、最終的に4点刻み20点満点に換算され、一般選抜の総合得点に加えられる。
傾斜配点
  • 一部都立高校(コース制や専門学科など)においては特定教科に比重をかけて総合得点を算出する高校がある。
  • 例)都立国際高校:英語2倍の傾斜配点(その場合は学力検査600点満点が算出に用いられる)
分割募集
  • 一般入試において、募集を前期・後期に分けて行っている高校。都立第二次募集と後期募集は同時に行われるため「一般選抜(第一次)合格発表後に進学先が未定の生徒に向けて枠を残している高校」と言い換えることができる。
合格基準点
  • 模試会社が算出する。一般選抜合格の”学力上”目安になる得点。実際の選考では総合点上位者から合格者が決められていくため、いわゆる合格ボーダー点・合格最低点とは異なる。Vもぎの場合、模試においてB判定以上(合格可能性60%合格)になる得点を合格基準点としている。
都立推薦入試
  • 都立高校においては一般推薦と特別推薦(文化・スポーツ等特別推薦)に分かれる。出願においては中学校校長の推薦書が必要。
  • 一般選抜においては調査書点/個人面接/集団討論(実施は一部高校のみ)/小論文および作文の合計点で選考が行われる。
  • 特別推薦、また一部高校の一般推薦では実技検査が課される。
志願変更
  • 都立一般選抜においては、願書提出後に一度だけ「願書取り下げ」→「別の高校に再提出」ができる(一度取り下げた高校の同一コース・学科に再提出はできない)。
  • 一度目の出願後に第一次に応募倍率が公表されるので、その時の受験状況などをふまえて変更を検討する。全日制から定時制への変更はできない。
倍率
  • 主に募集枠に対する志願者数や受検者数によって算出される。
  • 入試難易度をみるための指標になるが、どの時点で出されるかによって計算方法や意味合いが異なる。
  • 【志願倍率】
    ・志願者数÷募集定員数
    ・調査時点もしくは応募時点での倍率。
  • 【受験(受検)倍率】
    ・受験(受検)者数÷募集定員数
    ・受験時点での倍率。
  • 【実質倍率】
    ・受験(受検)者数÷合格者数
    ・受験者のうち何人が合格したかによって出される倍率。
    ・私立高校の場合、合格後の辞退者を見越して募集枠よりも多くの合格者を出すことがあるので、受験倍率と実質倍率で数値が大きく変動することがある。
水増し合格
  • 募集定員よりも合格者を多く出すこと。合格後に事情により入学手続きを辞退するケースがある。それを見越して合格者を多く出す場合があるが、都立高校の場合では人数はかなり制限されている。
併願優遇制度
  • 私立入試における制度のひとつ。第一志望ではないが、志望校(主に公立高校が想定されている)が不合格となった場合には入学をすることを条件に、一般入試時に優遇が行われる制度。
  • 多くの高校で内申点等による基準が定められており、それをクリアすることで“おさえの高校”として受験校の中に含めることになる。
  • 制度利用には、中学校と私立高校とで入試相談を行う必要があるため、高校の個別相談において制度を確認することや、中学校の進路面談で担任の先生に伝えることが必要である。
個別相談
  • 私立高校が実施する。受験生・保護者が受験に関する相談を行う機会を設けた場のこと。
  • 多くの場合、単願推薦や併願優遇の制度確認や、現状の成績での合格可能性について話す。現状の成績がわかるもの(内申点や模試の成績など)を持参すると詳しく相談がしやすい。
  • 入試相談と名前が似ているが、東京の場合は区別される。
入試相談
  • 事前相談ともいう。私立高校と中学校の先生が出願前に相談を行う。主に推薦入試(単願・併願優遇)についての内容になるため、12月の中学校と受験生(生徒・保護者)との進路面談の後に行われる。
開示請求
  • 都立高校入試学者選抜において、受検者は合格発表後に学力検査や面接・作文などの得点、および学力検査の答案の開示を請求できる。開示を行うことで実際の入試時の得点を知ることができる仕組み。
  • 合格者と不合格者とで受付期間が異なり、例年不合格者は一般選抜合格発表日の数日後(R6は3/5)から、合格者は5月1日から受付期間が始まり、ともに8月末まで受付となっている。

その他の用語

制服と標準服
  • 制服は着用が校則により義務付けられている服装であり、標準服の場合は着用が義務付けられていない。
高大連携・接続
  • 高校と大学が連携して行う取組み。特定の大学と高校とが協定を結び、高校生が大学の講義を受講したり、大学の先生が高校に来て講義を行ったりする。
  • 高大接続は連携をさらに進めたものとして、入学者選抜・教育内容にまで踏み込んだ高校ー大学間の連携である。
指定校推薦枠
  • 大学が特定の高校に対して数名程度与える推薦枠のこと。高校3年時に校内選考が行われ、選考を通過した生徒が大学に推薦される。推薦された場合は面接などで合否が決定されるが、よほどのことがない限り合格する。
  • 高校に与えられる枠数は年によって変動が起こり得る。
島外生徒受入事業
  • 島しょの高校へ島外から入学を希望する生徒へ向けて、島しょの高校と東京都教育委員会が協力して行っている事業。
  • 保護者等との島への転居なしで、寮やホームステイで生活しながら進学することが可能である。
  • この事業を通して島しょの高校へ進学するためには都立高校入学者選抜に先だって実施される「島外生徒受入選考」を受験し、通過する必要がある。